九州の中央部にある山域である九州山地は、地元の登山者の間では九州脊梁と呼ばれている。
この地域の山々は、非常に静かで渋い山歩きが楽しめることで、多くの九州のハイカーを魅了している。
個人的にも、福岡での生活を初めてから密かに憧れていた。
今回は、この広大な九州脊梁のメインルートともいえる、国見岳を目指して周辺の山々とあわせて歩いてきた。
国見岳への最短ルートではなく、あえて少し離れた尾根から周回する。
ウードヤ山、樅木富士を経由する行程だ。
入山者が少ないルートは、ご覧の藪漕ぎ。
こんなのも、九州脊梁の魅力のひとつ。
藪が茂っていたのは一部区間のみ。そこを過ぎれば爽快な尾根道に出る。
霧に包まれてしまったが、国見岳の山頂の祠が見えた。
国見岳頂上に佇む木。
霧に包まれた背景が、この木の孤独な雰囲気を掻き立てる。
適当に幕営適地を見つけてテントを張る。
夕方になって、霧が晴れてきた。素晴らしい夕暮れショーを楽しめそうだ。
太陽が沈んだ直後、高い空に広がっていた雲が鮮やかに染まる。
これまでに山で見た夕焼け空の中でも屈指の美しさ。
今日ここにきてよかったと心から思える時間だった。
決してこれを狙ってくることはできない、偶然の産物。自然の神が味方してくれた。
翌日は快晴。
国見岳に登り返して、昨日は霧に包まれて見えなかった景色を楽しむ。
遠くには阿蘇山、くじゅう連山、祖母山と、九州の名だたる山々が一望できる。
さすが九州の真ん中にある山。
爽快な尾根道。
下界はまだまだ残暑が厳しい季節だが、山の上は涼しい風が吹いていた。
烏帽子岳。
国見岳から烏帽子岳の縦走路は、おそらく九州脊梁の多彩なルートの中でももっともよく歩かれているルートだろう。
無事に下山して、車を置いてあるウードヤ山の登山口に戻る。
林道はご覧の状況で、ここ椎葉村では度重なる豪雨災害の爪痕が今も癒えないままだ。
また新たな災害が起きてしまう前に、少しでも復旧が進むことを祈る。