南アルプス南部の名だたる名峰を辿る旅。
新型コロナウイルスの影響で、この年の南アルプスはほぼすべての山小屋が営業を自粛し、避難小屋として開放してくれている。
そのおかげで、登山者は例年よりも少なく、静かな稜線歩きを楽しむことができた。
初日は午後から入山し、茶臼小屋に宿泊。
この小屋も、通常の営業は行っておらず、避難小屋を利用した。
そして写真は二日目の朝。いい天気になりそうだ。
まずは聖岳。
ここを夏に訪れるのは初めて。春の積雪期に 2 年越しで登頂を果たした思い入れのある山。
聖岳から先、兎岳方面まで足を伸ばすのは初めて。
この区間は急峻な尾根のアップダウンで、緊張感があった。
百間洞山の家。こちらも無人開放中で、誰もいなかった。
すぐ横を流れる沢で水を補給する。
ここで宿泊する計画だったが、まだ時間があったので赤石岳を目指すことにした。
夕方になり、霧に巻かれながらも赤石岳直下まで来た。
あと一息だ。
赤石岳の頂上直下に立つ、赤石岳避難小屋。
こちらも避難小屋状態になっており、気軽に宿泊できる。
今日はここで夜を過ごす。
夕方の日差しを浴びて、なめらかな山肌が浮かび上がる聖岳。
夏の雲が、夕方の空を賑やかに彩る。
立体感がすごい。
赤石岳と荒川岳を隔てる大きな鞍部、大聖寺平。
あまりにも雄大な風景に圧倒される。そして誰もいない。
荒川岳直下のお花畑は圧巻だった。
辺り一帯は甘い匂いに包まれている。
赤石岳からの荒川岳が美しかったように、荒川岳から見る赤石岳も雄大で美しい。
丸山付近で、ライチョウに出会うことができた。南アルプスで出会えるのは珍しい。
ライチョウはいつ出会っても、元気をもらえる。
千枚岳。ここから先は森林限界の下に入り、長い樹林帯を歩き下りていく。
主稜線の山々もここで見納めだ。
勾配の緩やかな道を、その分だけ長い距離をかけて少しずつ標高を下げていく。
ようやく大井川まで下りてきた。吊り橋を渡って林道に合流する。
最後は林道東俣線を歩いて、車を停めている沼平ゲートを目指す。
これがひたすら長い。
5 時間近くかけて、長すぎる林道を歩いた。
もはやこの時間、何を考えていたかも覚えていない。
最後こそ修行のようであったが、全体としては南アルプス南部の山々の絶景に抱かれる幸せな 3 日間であった。